2018年12月1日(土)から2日(日)にかけて「島&都市デュアル スペシャル体験モニターツアー」が開催されました。ツアーは「スタートアップコース」「こだわりモノづくりコース」「教育移住コース」の3つ。今回はその中から「教育移住コース」についてレポートします。各地から集まった「自然の豊かな環境で、しっかり子育てがしたい」と考える4組の参加者の皆さまには、神戸市・芦屋市・淡路市・洲本市の地域の方々や、移住の先輩との触れ合いやアクティビティを通じて、このエリアで暮らす「リアル」な価値を体験していただきました。まず新神戸駅で集合し、ここからツアーのスタートです。
まずはバスで芦屋市へ移動です。
芦屋市の暮らしナビゲーター、渡辺直子さんのガイド付きで芦屋のまちの中でも、若い人たちが多く暮らす南芦屋浜エリアを探訪。このエリアは埋め立てによって誕生した新しいまちで、マンション群、戸建て住宅、大型の買い物施設、マリーナ、会員制リゾートホテル、スパ施設、結婚式場、海浜公園など、多彩な機能を持った施設や建物で構成されています。
その後は、JR沿線沿いにある素敵なギャラリー「ギャラリー樹 JYU 」で、「芦屋での起業と開店」について、お二人のゲストスピーカーにお話を伺いました。
一人は、美味しいコーヒーを提供するために時には世界中の生産者の農家さんのいる現地まで足を運ぶという「RIO COFFEE」代表の八木俊匡さん。もう一人は、芦屋でさまざまな女性の働き方を創り出している「ママントレ」の須澤美佳さん。お二人からは、芦屋という土地柄、住民の特徴も含めた、リアルな芦屋での起業・開店の話が次々と出てきました。
「新規参入者にとっては難しいけれど面白いのが芦屋のまち。腕に覚えのある人にとっては、絶対挑戦しがいのあるまちです」というお二人からの情報提供は、移住を機に起業を考えている方にはとても興味深かったのではないでしょうか。
左がRIO COFFEE代表の八木さん(左)と「ママントレ」の須澤さん
南芦屋浜エリアの見学後にトークイベントと昼食を楽しんだ「ギャラリー樹 JYU 」
芦屋の自慢の一つは、学校ごとに徹底した手づくりでつくっている給食。『芦屋の給食: オシャレな街のおいしい献立』という書籍まで刊行されています。この日、提供されたのは擬製豆腐、タコサラダ、黒豆ごはん、具だくさんの豚汁など栄養バランス抜群の冬の献立。
昼食とコーヒータイムが終了したら、次は神戸へ。注目の子育てタウン新長田にある、話題のコミュニティ施設を見学します。
午後は今、新たなコミュニティタウンとして注目を集めている新長田へ。自身もこのまちに住む神戸市暮らしナビゲーター小笠原舞さんの案内で、コミュニティスペース「r3」と、介護付きシェアハウス兼地域コミュニティスペース「はっぴーの家」を見学しました。
まず行ったのは「r3」。ここは赤ちゃん先生のプロジェクトやお母さんが社会で働く仕組みをつくっている、NPOママの働き方応援隊代表の合田三奈子さんが運営している、レンタルコミュニティスペースです。建築家のご主人がデザインした屋内スペースは、ワインの瓶のシャンデリアや足場板のカウンターなど、使わなくなったものがかっこよくリユースされていて、いるだけで創造力が湧いてくる場所。
合田さんのお話を聞いていると、自分も〇〇がしたい!とアイデアが浮かびます
「自分の家のリビングを社会にオープンに」という考え方で始まったという「r3」。お弁当屋さんになったり、習い事の教室になったり、近所の人たちの集会所になったりと、地域の人のニーズに応えて、その時々にいろいろな役割を担って変化するスペースです。その自由さや開放感、場のあたたかさを感じたのか、ツアー参加の子どもたちも自然と大人と離れて楽しく遊びだしました。
奥のスペースでのびのび遊ぶ子どもたち
次は、「r3」から徒歩3分の場所にある「はっぴーの家」へ。ここは、あえてカテゴライズするなら「介護付きシェアハウス」なのですが、今までにない最先端の場所なので表現するのは難しい場所です。
ご老人が入居しているけれど、介護施設ではなくあくまでシェアハウスであり、近所の人も子どもも出入り自由というカオスな状態。ところが、それが実に居心地が良く、安心感があって、子どもも大人もお年寄りも自然体でその場に集まってきます。その結果、面白いプロジェクトが次々と生まれてくる。そんな不思議であったかい場所なのです。
老若男女入り乱れる、幸せな場所
経営するのは、まだ30歳代の若きオーナー首藤義敬さん。その型破りな発想に満ちたお話を聞いて、
「福祉の考え方が変わった」
「こんな場所地元にも欲しい」
「とにかくすごい!」
と、参加者の皆さんはとても刺激を受けていたようでした。
オーナーの首藤さんの新しい場所づくりに興味津々
今、長田には、こうしたことも含めて魅力を感じ、アーティストや外国人、若者が集まってきているそう。神戸の中心地(三宮)から車でわずか20分弱なのに、また全然違うアジアのまちに紛れ込んだような面白さのある長田。この長田の六間道商店街は阪神・淡路大震災後の新長田周辺で起きた大規模火災の延焼を逃れることができたため、下町コミュニティのつながりが残されている場所でもあります。商店街には学校帰りの子どもたちがコロッケを買いにこぞって通う精肉店があったり、街を歩けば、『行ってらっしゃい。どこ行くの?』、雨が降ってきたら『洗濯もの大丈夫?』と近所の人同士で声を掛け合う文化も残っていたり。子育てする環境に重要な安心感が残っている場所であることが合田さんや小笠原さんの発言からも伝わってきました。
近いのに、十分デュアルな2つの都市を巡った一行は、この後、3つめの訪問地、淡路島に向かいました。続きは後編でレポートします。