松山ケンイチ主演「平清盛」がNHK大河ドラマで放送された2012年、兵庫区を中心に清盛ブームが巻き起こった。神戸市中央卸売市場跡地には「歴史館」や「ドラマ館」が建ち、多くの市民や観光客が訪れた。このとき誕生した『神戸・清盛隊』は追っかけファンがいるほど人気で、7年経ったいまも活動を継続している。さて、平清盛が福原へ移った際に、日宋貿易の港である大輪田泊の構想を練ったといわれるのが兵庫区の平野エリアだ。なぜ清盛がこの地を選んだのかなど、地理的条件や歴史のことを書きだせばきりがないほどオモシロイのだが、それはまたの機会に。今回のコラムのお題でもある「温泉」が、この平野の地にあるのだ。
神戸駅から7系統のバスに乗り「石井橋」のバス停から徒歩5分。住宅の密集する細い道を抜けた山ぎわ、天王谷川沿いにある『湊山温泉』は“平清盛が湯治した”といういわれもある。気軽に行けるまちなかの温泉とあって、わが家では来客があったときや、公園などで思いっきり遊んで汗をかいたあと訪れることが多い。幼少のころから連れて行っているおかげで、現在小学1年生の息子は大の温泉好きになり、「湊山温泉にいくで」と言っただけで歓喜する。
歴史を感じさせる靴箱。なんと靴だけではなく、傘が入るほど奥行きがある。
平野商店街主催のまち歩きツアーで源泉を見せてもらった。源泉は約29℃。無色透明で炭酸ガスが細かく泡立つ炭酸重曹泉。
スーパー銭湯のようにサウナがあったり、ジャグジーがあったりするわけではないが、水風呂、気泡風呂、高温浴槽、ぬるま湯風呂とすべての浴槽が源泉かけ流し。なかでも約38℃のぬるま湯風呂には、いくらでも入っていられるほど気持ちがいい。シャンプー、リンス、ボディーソープなどのアメニティも揃っているのでバスタオルとタオル一枚あれば気軽に行けるのもうれしい。ドライヤーも無料。
※写真は湊山温泉ホームページよりお借りしました。
畳敷きのキッズコーナーも。息子を遊ばせながらここで飲む風呂上りのビールは最高。
無料のマッサージ機が4台もあるなんて、うれしすぎる。
こちらは湊山温泉が毎月出しているカレンダー。季節行事や週末にはオモシロ企画やおトクなサービスも。土日祝日は「家族の日」として小学生の入浴料が100円になるのも家族連れにはありがたい。
おとなりの“きしめん屋さん”できしめんを食べて帰るのもおなじみ。
ちなみにこの湊山温泉、入浴者数や神戸市の水道料金見直しに伴う負担増の影響などもあり2015年5月10日をもって廃業することが一旦決定したが、この報道を受けて別会社への譲渡が決まり3日間の休業を挟んで5月14日から新体制で営業することとなった。現在では、駐車場28台分を完備し、遠方から多くの入浴客が訪れるほどに。
ゆったり入れる温泉として穴場的なところが魅力でもあったが、それもこの温泉あってこそ。兵庫区自慢の湊山温泉。ぜひ訪れてみてください。