毎日、淡路島。#6 淡路島に移住して困ったこと

淡路島の子育て事情などを含め、リアルな我が家の「デュアルな暮らし」を綴っていく連載です。連載の第6回目は、よく聞かれる淡路島に移住して感じるデメリットについてです。

こんにちは、淡路市に住む時友真理子です。2016年に東京から淡路市に移住し、私は子育てを主軸にライター業を、夫は会社員で、毎日淡路市からバス通勤で神戸に通っています。淡路島の子育て事情などを含め、リアルな我が家の「デュアルな暮らし」を綴っていく連載です。連載の第6回目は、よく聞かれる淡路島に移住して感じるデメリットについてです。

 

「淡路島移住のデメリットって、何ですか?」

淡路島への移住を検討している人とお話ししていると、決まって聞かれるのがこの内容。一人で楽しそうにいいことばかり話している私に対して、最後のほうに申し訳なさそうに聞かれるのがほとんどのパターンです。でもね、すみません。移住させようといいことばかり伝えているわけでは全くなく、本当にいいことのほうが多くて(今のところ、なのかもしれませんが)ついそうなってしまうのです。先日も、真剣にそう聞かれて、こちらも「うーん」と腕を組んで下を向きながら一生懸命考えてみました。せっかくなので、こちらにも書いてみようと思います。ただし、今までもそうですが、今回は特に個人的な思い込みと偏見にまみれています。この文章はノンフィクションですし、登場する人物・団体・名称等は実在ではありますが、私の勝手な見解とは関係ありません。ご注意ください。

淡路島に住んでみて、困ったこと

1.ガス代が高い

前にも書いたと思うのですが、島内はほとんどがプロパンガスです。ガスファンヒーターなどの機器もプロパン用に買い替える必要がありますし、日々のガス代も都市ガスに比べてそこそこ高くなります。乾燥が嫌いなので、エアコンより断然ガスファンヒーター派だった私は、初年度の冬に、ガス代で身の凍るような思いをしました。エアコンは全くつけず、「ガスファンヒーターだけ」で乗り切ってしまったのです。この冬は実験的に、「エアコン+本当に寒く感じたときだけ数分ガスファンヒーター+エアコンでの乾燥に対抗して加湿器」にしてみたところ、電気代は上がりましたが、ガス代は格段に下がり、総額も以前より抑えられました。今後はこの方式で行くと思います。

 

2.車両経費がかかる

我が家は徒歩圏内に高速バス乗り場もコンビニもドラッグストアも産地直売所も飲食店も郵便局もありますが、車は必須です。しかも移住3年目には夫婦で2台持つようになりました。今やもう1台しかない生活には戻れません。引越しの際には、これだけ立地がいいから車のことはゆっくりで大丈夫だろうと高を括っておりましたが、引っ越してきた次の日に慌てて購入しました。しかも神戸や四国にもアクセスがいいのでついついETCを使って出掛けてしまうのです。東京で車を手放してからすっかり忘れていたETCの請求に驚いた記憶があります。まあ、お小遣いの範囲内で出掛ければ済む話なのですが。

 

3.顔がゆるむ

久しぶりに東京でバリバリ働く友人に会ったりすると、自分とは全然顔つきが違うことに驚きます。「ビシっ」とした顔つきをしているというか、都市の人のオーラがあるというか。淡路島が地元の方々に関してはそういうことはないのですが、やはり移住仲間で同じくらい年数経っている友人たちも、力の抜けた人が多いです。神戸にいる移住者の人たちに会ったときも、淡路島の移住者とは違いを感じます。神戸ののんびりした街から淡路島に帰ってきても、やっぱり顔も体もホッとします。正直なところ。

 

4.ジャージでお迎えやコンビニに行きにくい

これは想定外だったのです。淡路島の皆さん、ごめんなさい。実は私、島の人はもっと服装に関してはゆるくて大丈夫だと思っていました。淡路島の地元の人たちって、おしゃれな人が多いのです。これ、神戸や大阪でもそうなのですけど、まず、ノーメイクやナチュラルメイクの人が少ない。女子力高いのです、皆さん。東京にいる時のほうが、ゆるい仲間が多かった気さえしています。保育園の送り迎えでも、私みたいに部屋着みたいな恰好で来ている人は、本当にほとんどおりません。あ、この人、同じ匂いがするな、と思ったら移住者でした。きっとあの人も困っているに違いありません。

 

5.運動不足に陥りやすい

とにかく歩かなくなります。歩いて5分のところにも、つい車で行くようになるのです。習慣ってすごい(おそろしい)。思い返せば、移住と同時にサラリーマンも辞めているので、通勤時の駅までの徒歩時間や、電車の乗り換えの歩き、仕事中にコンビニにお菓子を買いに行くのでさえ、立っては歩いていた貴重な運動時間だったのです。ちりも積もればなんとやら。それらのささいな運動さえまったくなくなってしまい、完全なる運動不足に。ただ、散歩に適した場所はたくさんあるので、意識さえできれば問題はないのですが。

 

6.通販にハマる

島内で手に入らないものもよくあるのですが(主にマイナーな調味料や化粧品など)、amazonを始めとし、通販で手に入らないものなんてほとんど無いに等しい今、手に入らなくて困ることはありませんでした。衣類でさえ、だいたい返品できるので、取り寄せて家で試着して合わなければ返すというフローになんと慣れたことか。ただ、以前より通販事情にやたらと詳しくなり、通販しかしていない好みのお店や商品の情報が増え、かつ、通販に対する億劫さが慣れで以前より軽減されてしまったので、無駄にポチっとしやすくなった気がしています。これは困った。

 

7.都市のスピードに慣れるのに時間がかかる

先日、実家に帰省しました。久しぶりに飛行機にのり、神戸空港から羽田へ。2歳の息子も連れているし、きっと疲れるだろうなと予想はしていたのですが、一番自分で驚いたのは、神戸空港。空港で手荷物検査に並んでいるときに感じた緊張が意外でした。ギアチェンジと言えばいいのでしょうか、停止状態から回転数を上げるときに一番負荷がかかる、まさにその感じです。普通に列に並んで手荷物検査を受けるだけなのですが、前に後ろに人がいて、なんとなく「急がないとな」と思うあの感じ。久しぶりにドキドキしちゃいました。島でもスーパーのレジなんかでは並ぶことって普通にあるのですが、なぜか私には、駅とか空港とかのそれはまた別物な感覚だったのです。もちろん、羽田についてからも、券売機に並ぶとか、人の多い場所を歩くときなどは結構体に力が入りました。というわけで、久しぶりに人口密度が高くスピードがある場所に行くときは少し気合いが必要です。

 

8.島外の外食におけるハードルが上がる

ちょっと嫌味に聞こえたらごめんなさい。昔より外食で「おいしい!」と思う機会が減りました。「島で食べた方がおいしいね」「ここで食べるなら、島に帰ろう」という発言が増えました。久しぶりに東京で、おいしいと思っていたお店に行ったときも、味がとても濃く感じたり、お魚がおいしいお店だったのですが、そうはもう思えなかったのです。人に薦められて行った三宮の神戸牛のなかなかいい値段のお店でも、新谷ビーフで買ってきて、家で焼いて食べた方が数倍おいしいと感じてしまったことも。

 

9.高い山がない

これは、登山好きの移住希望者の方と話していて気付いたのですが、高い山がないので、家の近くでしっかり登山したいタイプの人にはお隣の四国など、島外まで行く必要があります。

 

10.高い波がない

「ざっぱーん!」という音と共に、波と戯れることは、台風のときに無理やり海に入らない限り、淡路島では難しいです。優しく「ちゃっぽーん」みたいな波の日がほとんどです。子どもと海に入るときは遊びやすくて楽ですが、サーフィンが好きな私としてはたまに物足りなく感じることもあります。

*島内にも波が立つサーフスポットは存在します。

 

と、並べてみました。なんだかちょっと自分がくだらない人間なのではないかと思えてきましたが、真剣に考えてみての結果なのでしょうがないですね。もし機会があれば、必ず他の移住者の人にも聞いてみることをおすすめします。

この暮らし体験のナビゲーターについて

時友 真理子

2016年3月に東京の中目黒から淡路市へ夫婦とセキセイインコの3人家族で移住してきました。その1か月後に長男を授かり、現在は島での子育てを楽しむ日々を送っています。

詳しいプロフィールはこちら

その他カテゴリーの記事をみる