日本列島を襲う灼熱の暑さに見舞われた7月21日(土)。集合場所は、三宮から地下鉄で3駅目、時間にしてわずか7分ほどの湊川公園駅。
今回の企画「B面の神戸」ということで、集合場所には粋なことを好みそうな渋いおと…おと…
こ、子ども!?なんと、粋な大人になりたい子どもたちにご応募いただきました。
というわけで早速ツアースタート。
まずは今回のナビゲーター、西島さんを先頭に湊川公園駅から北に向かって歩き出します。
西島さんは現在湊川に住み、まちPRプランナーとして新開地をはじめとする神戸市内の商店街・市場の魅力発信をお手伝いしています。今回は自分の住む町の魅力を知ってもらおうと企画してくれました。
地名の通り、この場所にはかつて湊川という天井川が流れていたそうです。
裏には山も見えます。
西島さん曰く「少し登れば山でも遊べます。家にいたらウグイスの声なんかも聴こえるんですよ。」とのこと。街の魅力と、自然の魅力も持ち合わせる場所なんですね。
そうこうしている内に、たどり着いたのは「湊川隧道」。
入り口に、水色のポロシャツが映えるダンディーな方々が。
ここは、1901年(明治34年)にできた、日本初の近代河川トンネルなんだそうです。
早速中に入ってみます。
なんとも幻想的ではありませんか。歩いているだけでとても興味深く、かつての人々の苦労や希望も滲み出てくるような気がする場所です。
そして地下ということで、幸せの涼しさ!
ガイドをしていただいた湊川隧道保存友の会の佐々木良作さん。
かつて六甲山がはげ山だった頃(があったんですね!)、湊川に山からの砂が溜まっていき、神戸港が埋まってしまうのではという懸念から、このような隧道を造り川の付け替え工事が行われたんだそうです。しかしこの隧道も1995年の阪神淡路大震災により一部が崩れ、その後別の場所に新たなトンネルを造ったことで、このトンネルは役目を終えたそうです。そんな中、貴重な造りであったり歴史があったりすることから、保存会のみなさんでこの場所を守り続け、こうして見学やコンサートなども企画されているとのこと。他にも面白い歴史をたくさん聞かせていただきました。詳しくはぜひみなさんも現地の見学で耳を傾けてみてください。僕自身も、次回はコンサートにぜひ行ってみたいです。
隧道を見学したのち、胃袋センサーは市場の方角を目指します。お次は市場の食べ歩きです。
湊川エリアには複数の市場がひしめき合っており、まさに『神戸の台所』として愛されています。まず最初に向かったのは『マルシン市場』。この市場は、西島さんもパンフレット制作に携わるなど、関係性の深い場所なんだとか。なんとこのツアーのために、こんな素敵な金券をご用意いただきました。
金券を握りしめ、市場に飛び出します。
私が住む里山には商店街というものがなく、憧れの生活スタイルです。
そして小銭をちょこちょこ使うのが好きな私にとってかなり危険なエリアです。
「あーいやー迷うなー。」
「もういいぞ!金券以上に好きなもん買って食え!俺も買うわ!せっかく来たし!」
自分がしたいことは子どもにも許す『せっかく来たし論』発動。
自分が食べたいものだけを買い、並べる。うへへ…こんな楽しいことがあろうか。
机に広げて、いただきます!
うまい!!実はここも商店街の一画をお借りしています。ありがたいですね。
「仕事で帰りが遅くなってしまった時など、とっても頼れる場所です。」
商店街のみなさんと顔見知りの西島さん。仕事で疲れた後も、こうして市場に寄って声をかけてもらい美味しいお惣菜に助けてもらって…。地域でみんなの生活を支えていく素敵な湊川ライフスタイルを垣間見た気がしました。
市場巡りはまだまだ続きます。湊川から南に位置する新開地エリアへ、市場を通り抜けて目指していきます。どの写真を選ぼうか迷うほど、魅力的なお店が次から次へと登場します。
ひやしあめをその場でぐいっと。生姜が効くねー!
目の前で割かれるサキイカ。ずっと見ていられる。
路地裏の漬物屋さん。無添加で勝負をかける男気。
ほうじ茶を作る工程を見学。子どもたちはこの数十分でいくつの社会見学をしたのだろう。
粋な大人に近づいてるね。
歩き回った喉に、グリーンティーを流し込む!染み渡る!
こうして楽しく財布から硬貨や漱石的なものが飛び立っていきます。最高です。
そしてついに、魅惑の新開地エリアに到着します。かつての一大歓楽街として名を馳せたこの地は、少しずつ形を変えながらも、その名残を色濃く残した場所です。
支配人が自分で選び抜いた映画だけを上映する名画座。
参加者の一人は、ツアー後にここで映画を楽しんだそう。そんなご縁がいいですね。
こちらは大正13年創業の春陽軒さんの豚まん。味噌味の餡がなんとも言えず美味。
胃袋が2つあればいいのにと思いながら、余裕の完食。
こちらは西島さんも携わる「新開地まちづくりNPO」による新施設『喜楽館』。
新開地での寄席を復活させたいと、地域のみなさんの想いが詰まった場所です。
手を挙げればコトが動く。そんなリアルがここにはあります。
普段ガイドもされている西島さん。
「あそこの焼き鳥は最高です。」
「ここのコーヒーとミックスサンドは食べる価値あり!」
と怒涛の畳み掛けです。また来る理由が生まれます。さすがです。楽しいです。
最後は喫茶店「エデン」さんで締め。
昭和23年からこの地で喫茶店を始め、当時はここでお見合いなどもされていたほど気品あるお店です。大人はミーコー(ミルクコーヒーの略)、子どもはカルピスをサービスしてもらって、ツアー終了です。
「やっぱカルピスやなー。」「染みるわー。」
君たち、10年後はここで苦いコーヒーを飲み交わそう。
神戸人はミーコーと言うらしいですよ。
最後に西島さんに聞いてみました。
「西島さんにとって、『湊川・新開地』とはどんな場所ですか?」
「湊川・新開地は、第2の故郷。ディープって言われるけど、色んな人がいるのも魅力。人情があって、生きていることを実感できるまち。っていうところでしょうか。」
どのスポットを説明する時も、本当に楽しそうに色んなことを教えてくれた西島さん。
僕自身も、すっかり湊川・新開地に魅了されてしまいました。
ぜひ一度訪れて、西島さんの言葉の意味を体感してくださいね!
―――――――――――――――――――――
○新開地まちづくりNPO
http://shinkaichi.or.jp/
○湊川隧道保存友の会
http://minatogawa-zuido.com/