島&都市デュアルで教育移住を考えるVol.2
「芦屋市・後編」学校と地域の両方で児童を育む

「都市の文化」と「自然」が共存するエリア、神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。

都会の喧騒から離れて、自然のなかで自分たちらしい子育てをしたいと考えている人が増えている昨今。でも、実際のところ、都会とは違ったどんな教育が行われているのか、気になるところでもあります。そこで今回、「都市の文化」と「自然」が共存するエリアにある神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。
第2回は「芦屋市・後編」です。

高級住宅地として全国に名をとどろかせている芦屋市。実は、屋外広告物に対する日本一厳しい規制基準の条例など景観保全がなされており、歩道の整備など、ただ歩いているだけでもとても気持ちの良い街でもあります。でも、そんなことより何より特筆すべきは、約18㎢の面積に10万人弱の人口というコンパクトさがもつ住みやすさ。そのメリットを生かした子育て施策について、前編の未就学児への取り組みに続き、後編をお届けします。
*この記事に掲載されている内容はすべて2018年8月1日時点のものです
*この記事では市で行われている特徴的な子育て施策についてのみ言及しており、その全てではありません

芦屋市の小学校~高校への取り組み
「地域コミュニティのつながりのなかで育てる」

時友(以下、時) 前回は未就学児童への子育て支援についてお話をお聞きしましたが、引き続き小学生以上の子どもへの教育では、どんなところに力を入れているのか教えてください。

芦屋市(以下、芦)  はい。芦屋市ならではの取り組みとして紹介したいのは「キッズスクエア」と「学校給食」の2つですね。

 まずは「キッズスクエア」から教えてください。

 「キッズスクエア」は「放課後をもっと楽しもう!」というテーマを掲げ、取り組んでいるプログラムです。学童保育とは違って全児童が対象で、地域の人と連携して放課後の子どもの居場所をつくる取り組みで、全国展開されています。児童の参加登録は,芦屋市では50%を超え文部科学省から先進的な取組として紹介されています。

 それはすごいですね。人気のプログラムなんですね。

 地域・企業など方々の協力が多岐に渡るので、自然とプログラムも面白いものが増えますし、一定の人の負担にならずになっているところや、子どもの自主性も尊重していることが功を成しているのかなと思っています。

 具体的にはどんなことをしているのですか?

 児童が自由に遊んだり,勉強をするほかに様々な体験プログラムがあります。江崎グリコ(株)の社員のみなさまがタブレットを持参し,独自のアプリを使ったプログラミング教室を開いてくださったり,放課後NPOアフタースクールの協力を得て,児童が商品を仕入れ,地域の祭りに出店し,実際のお金のやり取りをしてお店を経営したり,竹中大工道具館のみなさんに木材のことやノコギリ、カンナの使い方を習ったり、(株)フィッシングマックスさんに釣り教室をしてもらったりなどなど。県立芦屋高等学校ラグビー部や甲南高等学校ボランティア委員会のみなさんに至っては、子どもたちの要望を聞いてかなえる活動をしてくれるなど,毎回子ども達は,高校生が来ることを楽しみにし,小学校と高校の仲間という素敵な関係も築けています。

芦屋市キッズスクエア

子どもたちに大人気のラグビー部とのプログラム

芦屋市キッズスクエア

芦屋キッズスクエア

 「芦屋の給食」の話はいかがですか?

 ぜひ聞かせてください!

 兵庫県は全体的に食が豊かなので、どのまちでも給食は美味しいと思うのですが、芦屋ではとりわけ力を入れています。「子どもの健やかな体づくりはまず毎日の食事から」と、手づくりにこだわっているのに加えて、淡路島を含む兵庫県の食材をふんだんに使って地産地消も意識しています。家庭の味も子どもにとっては宝だと思うので、給食の献立をベースにして、忙しい家庭でも簡単においしいものをつくれるよう、「あしやの給食~オシャレな街のおいしい献立~」というレシピ本も出版しています。その他スペシャルな取り組みとして、”味覚の一週間”という、シェフによる食育の授業もやっています。

 その他の取り組みはどんなでしょう?

 学校図書に関しまして,「ブックワーム芦屋っ子 本が大好き読みたいな 子どもに読ませたい図書リスト400選」という読書活動の推進冊子を市オリジナルで作って市内にお住まいの4歳から15歳のかたに無料配布もしています。

 すごい力の入れようですね。

 また,「コミスク(コミュニティ・スクール)」というものがあります。コミスクとは,「学校」という場所を地域の人にも開放して自主的な文化活動・スポーツ活動や地域活動を通じて、学校・地域・家庭の連携と住民相互の連帯感や自治意識を高め、よりよいコミュニティの創造・発展を図ることを目的に活動している団体です。
小学校区を基本として,市内9か所で子どもからご老人まで幅広い世代が文化とスポーツを楽しんでいます。

 なるほど、コミスクによって都市なのに、田舎のような地域のつながりがあるまちが構築されているんですね。地方と都市の美味しいとこどり、まさにデュアル。

 芦屋というと、どうしても富裕層や私立校のイメージが強いと思うのですが、公立校も負けず劣らず充実していることを伝えられたら嬉しいです。ちなみに、六甲山脈も近いので、自然もすぐそこにある環境です。電車も阪急、JR、阪神と3路線あるので、休日は,神戸・大阪・京都にも行きやすく、子育て世代の方には生活しやすいまちだと思います。

 最後に芦屋市への移住を検討されている方へ一言お願いします。

 学校教育にも地域教育にも手厚い芦屋市で、しっかり子育てをしてみませんか。芦屋で暮らし、週末は淡路島・神戸に家族で出かけるデュアル・ライフをぜひ!」

芦屋市_集合写真

芦屋市の教育情報 前編はこちら

芦屋市の小学校・中学校・高校一覧
小・中学校一覧
http://www.city.ashiya.lg.jp/kanri/syoutyuugakkouitiran.html

中学・高校・大学など
http://www.city.ashiya.lg.jp/shisetsu/chugaku/index.html

芦屋市コミュニティスクール一覧

この暮らし体験のナビゲーターについて

デュアルライフ研究所 時友真理子

自然と文化のいいとこどりできる、これからの新しい暮らし方、「デュアルライフ」について研究します。

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