島&都市デュアルで教育移住を考えるVol.4
「洲本市・後編」スポーツと文化の継承に注力を

「都市の文化」と「自然」が共存するエリア、神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。

都会の喧騒から離れて、自然のなかで自分たちらしい子育てをしたいと考えている人が増えている昨今。でも、実際のところ、都会とは違ったどんな教育が行われているのか、気になるところでもあります。そこで今回、「島&都市デュアル」に参加する淡路島の洲本市に、島のまちならではの教育情報を聞いてきました。

洲本市は淡路島のちょうど真ん中に位置します。裁判所や法務局や淡路島で一番大きい郵便局などもここに所在し、会社勤めをする人の数もおそらくここが一番多く、淡路島の中で一番都会的なエリアとも言える場所です。一方で温泉街や夏には島外の人で賑わう大浜海水浴場なども有する観光地の顔や、国指定史跡の洲本城が残る城下町の顔も持っています。そんな洲本市では、どんな子育てに注力しているのか、前編の未就学児への取り組みに続き、後編をお届けします。

*この記事に掲載されている内容はすべて2018年8月1日時点のものです

*この記事では市で行われている特徴的な子育て施策についてのみ言及しており、その全てではありません

洲本市の小学校~高校への取り組み
「スポーツと文化の継承に注力を」

時友(以下、時) 続いて、小学生以上の子どもへの教育では、どんなところに力を入れているのか教えてください。

洲本市(以下、洲)洲本市では「自然に学べ、歴史に学べ、先人に学べ」というテーマを掲げ、時代に翻弄されることのない確かな人づくりを目指しています。どんな時代でも変化に適応していくためには、確かな学力と健やかな心と体が大事なのではないかと思い、さまざまな企画を実施しています。

 壮大ですね。具体的にはどんなことをやっているのですか?

 まずは、学力についてですが、都市の方には「田舎=学力が心配」というイメージを持たれる方も少なくないと思うのですが、そこはご安心ください。全国共通の学習規定できっちりやっておりますので、どこに出しても恥ずかしくない成果が出ています。

 確かに地方都市より大都市の方が、教育水準が高いような勝手なイメージがありますが、そうでもないんですね。

 決してそんなことはありません。ICTを活用した授業も積極的に取り入れています。単にパソコンなどのIT機器を操作できるようになるというだけでは意味がないので、例えば、写真を大きくプロジェクターに映し出してプレゼンするなど、“パソコンならではの使いどころとは?”ということがわかるような学び方に注力しています。

洲本市_ICTを活用した授業

あと、小学生を対象とした特別な取り組みとして「すもとっ子MANABIプロジェクト」を開催しています。

洲本市_学びプロジェクト

時 おお。囲碁・将棋からロケットまで。島外の専門家だけでなく、地域の人も講師として招いているんですね。

 そうなんです。これ以外にも、学校と地域の有名人とのコラボレーションイベントを多々開催しています。海(漁業)、山(林業、酪農業)、田(農業)の各ジャンルの年間行事を、学校のイベントとして体験します。小さいころから各業界のドン(地元の有名人)たちと触れ合うことで、文化の理解と継承、そして地域への誇りの醸成になればと思っています。洲本市には文化史料館もあるので、淡路島で出土された銅鐸や化石に触れる機会も設けていますし、だんじりや阿波踊りなどにも子どもたちで連をつくって参加しています。

洲本市_春祭りでだんじり唄

 淡路島はどの地域もお祭りが盛んですものね。お祭りを通していろいろな人と触れ合えるのは子どもにとってはいい経験ですよね。

 中にいると見落としがちな地域の魅力を再発見する機会になりますからね。地域の魅力といえば、今年度から新たに壮年期の男性のつながりを強化して、地域を活性化したいと思って「おやじプロジェクト」というものもスタートしています。

時 男性しか参加できないんですか?

 いえ、女性も子どもも家族みんなで参加できますが、転勤や移住で島に来ていて横のつながりがない方もいらっしゃいますので、特に男同士のつながりを強化する機会を増やしたいと思い、はじめました。

洲本市_おやじプロジェクト

鱧の湯引きにチャレンジするおやじ

鱧の湯引きにチャレンジするおやじ

自然栽培にチャレンジするおやじ

自然栽培にチャレンジするおやじ

洲 あと、これは幼稚園から対象になるのですが、「アスリートネットワークすもと」というスポーツ振興の取り組みも人気です。

洲本市_アスリートネットワーク洲本市_アスリートネットワーク

時 それはどんなものなのですか?

 オリンピックメダリストを含む国内のトップアスリートやトレーニングのスペシャリストを小学校の授業に招いたり、市内の幼稚園に年に3回メダリストを派遣したりというものです。いろいろな形式で行っていますが、洲本市内の幼稚園と小学校で平成29年度だけでも年13回以上実施しています。そのおかげでしょうか、市の規模の割にはスポーツで活躍する学生が多くいるような気もしています。

洲本市からの平成30年度全国・近畿大会出場者

洲本市からの平成30年度全国・近畿大会出場者

時 中学生以上の生徒を対象に特に力をいれていることはありますか?

洲 キャリア教育ですね。これは中学生以上だけでなく、小学生も対象にしていますが、「輝きPJ」といって、洲本出身の方で、各方面で活躍している人、例えば、社長さんやスポーツ選手、俳優さんなどを学校に呼んで直接話を聞ける機会をつくっています。加えて「無限大塾」といって年6回島外の大学生と触れ合ったり、実際に島外の大学の授業に参加したりと、将来に向けてより現実的にイメージできるようにすることに力を入れています。

洲本市_無限大塾

MANABI水ロケット大会

洲本市_無限大塾

自分の地域の良さも、外の世界の広さも同時に体験していけるのはまさにデュアルですね。島内にいても知らないことだらけでした。最後に、洲本市に移住を検討されている方に一言お願いします!

 「なのは」も洲本市の職員さんも子育てしやすい洲本市でみなさんを待ってるヨ☆

取材にご協力くださった洲本市のみなさんと駆けつけてくれた妖精・なのは

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洲本市の小学校・中学校一覧

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この暮らし体験のナビゲーターについて

デュアルライフ研究所 時友真理子

自然と文化のいいとこどりできる、これからの新しい暮らし方、「デュアルライフ」について研究します。

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