島&都市デュアルで教育移住を考えるVol.5
「神戸市・前編」とがったことはやらず、くまなく丁寧に

「都市の文化」と「自然」が共存するエリア、神戸市、芦屋市、淡路市、洲本市の各市に、ネットではなかなか調べても出てこない各地域の教育情報を聞いてきました。

都会に住んでいても、人情溢れる子育てがしたいと考える人や、学力や学歴だけを目指すのではない教育を与えたいと思う親が増えています。
島&都市デュアルに、「都市」として参加する神戸市ではどんな子育てや教育支援が行われているのでしょうか。神戸市の担当者に尋ねてみました。

かのイチロー選手の「神戸はちょうどいい大きさ」という言葉に表されるように、神戸市は海と山と発展した港町が共存する都市。自然環境の良い生活と都会的な生活が同時に味わえて、世界から観光客も訪れるこの魅力あふれるこのまちでの子育てについて、神戸市の方に聞いてきました。
*この記事に掲載されている内容はすべて2018年8月1日時点のものです
*この記事では市で行われている特徴的な子育て施策についてのみ言及しており、その全てではありません
*この記事に掲載されている住み替え補助事業には申込期間・対象要件があります。
詳しくはホームページまたは下記までお問い合わせください。
神戸市住宅都市局住宅政策課 TEL.078-322-5574(受付時間/平日8:45~17:30)
http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/house/information/shinkonportal.html

神戸市の未就学児への取り組み
「とがったことはやらず、くまなく丁寧に」

時友(以下、時) まずは、未就学児に対する神戸市ならではの取り組みについて教えてください。

神戸市担当(以下、神) 「ライフステージごとに切れ目なく丁寧にサポートしよう」という方針で取り組んでいます。神戸市の子育て支援の取り組みは、新婚さん含む子育て層への「住む」の応援から始まります。

時 この、「新婚さん神戸にいらっしゃい!」というキャッチコピーに表わされる制度ですね。

神 はい、そうです。これは新婚さんの住居費や引越費用を最大30万円補助するというものです。

時 どのような方が補助の対象になるのですか?

神 市外から市内でも、市内から市内でもどちらの引っ越しでも新婚さん(平成30年度は平成30年1月1日以降に婚姻された方)で年齢、所得、住宅要件等を満たす方が対象となります。さらに、引越しにまつわる補助は新婚さんだけではありません。同じくいくつかの要件や申込期限がありますが、小学校入学前のお子さんを持つ子育て世帯とその親世帯の3世代が近く(同一小学校区内もしくは直線距離で1km以内)に住むもしくは同居することになった場合に引越費用(市外からの引っ越しの場合、最大20万円)の助成もしています。

 それは有難いですね。

 まだあります。実は、こちらが「住む」支援のメインの取り組みなのですが、新婚・子育て・多子世帯を応援する中所得層(世帯年収900万円以下)向け市営住宅を9カ所に用意しています。「神戸市営シティハイツ」という名のこの9カ所は、最低24戸~最大184戸のアパートかマンションなのですが、3LDKを中心に2LDK~4LDK、面積で言うと60平米後半~70平米の住戸で構成されていて、新婚・子育て・多子世帯には20%の家賃減免制度があります。9カ所中8カ所は駅から徒歩圏内で、そのうち4つは徒歩4分以内。礼金や更新手数料、仲介手数料も不要です(手続きについてはこちら)。

 新婚なら3年間、子どもが生まれれば未就学中まで、子どもが3人以上いれば子どもが18歳になるまで減免は続くんですね。それは大きいですね。

 神戸は震災を経験しているので、ゆとりのある住宅で安全な暮らしをしてもらいたいという思いが根底にあります。この「神戸市営シティハイツ」はもちろん耐震性も高い住宅です。次は、妊娠期以降のお話になるのですが、神戸市ではKOBE子育て応援サイト「ママフレ」というウェブサイトで子育て情報を発信しています。また、妊娠中から3歳のお子さんを持つ方とその家族等を対象とした「こうべ子育て応援メール」でも子育て情報を配信しております。

 KOBE子育て応援サイト「ママフレ」、拝見しました! すごくわかりやすくてびっくりしました。行政情報は量が多くて探しに行くのが大変なことが多いのですが、このサイトは優しいなあと思って見てました。「こうべ子育て応援メール」はどんなものなのですか?

 登録されると、妊娠時から生後100日まで毎日、妊娠・出産・子育ての基礎知識やアドバイスがメールで届きます。お母さんだけではなく、お父さんやおじいちゃん、おばあちゃんも登録できます。赤ちゃんの成長、お母さんの体調や精神状態など、子育てに関わる人にすべてに役立つ情報が届きます。「こんなの知らなかった!初めての妊娠・出産で不安だらけのときに役に立った」というお声をたくさんいただいています。

 初めてお父さんになる人にもいいサービスですよね。あと、妊婦健診の助成も嬉しいですが、さらに嬉しいのはこの産後ケアですね。

 市内には6カ所、産後ケアを行う助産所があります。あと、中央市民病院は救急医療で全国に名を馳せている病院でもあり、小児救急医療体制も万全です。

 実は、私も出産時救急で中央市民病院にお世話になりました。初めての救急体験だったのでとても怖かったのですが、「ここは日本一のERとも言われている病院だから安心して!」と救急隊員の人に言われてちょっと安心した記憶があります。結果的に息子のNICUまでお世話になったのですが、産婦人科の先生も小児科の先生には、熱心かつ真摯に取り組んでいただき、大変よかったです。産科の同じフロアにいるお母さんたちが国際色豊かなのも印象的でした。やはり港町だからでしょうかね?国際色豊かなことは、子育て環境の利点でもありますよね。

 そうですね。さきほどお話ししたKOBE子育て応援サイト「ママフレ」も、英語、中国語、韓国語、ベトナム語バージョンがあります。また、神戸市の教育の二本柱は「防災教育」と「国際教育」です。それについてはこの後(下線部にハイパーリンクをお願いします。神戸市の後半記事へ)、お話しますね。ちなみに、母子健康手帳の表紙は、神戸発のブランド「ファミリア」のデザインで、大変好評いただいております。

 これ、市外の方はちょっと羨ましいでしょうね(笑)。

 ところで、保育園、幼稚園は、私立もとても多いですよね。

 はい。そして公立私立間の連携は取れているほうなのではないかと思っています。公私合同の保育士研修なども行っていますし。

 今、社会課題になっている保育士についてはどうですか?

 保育士への一時金や家賃補助、潜在保育士の復帰支援、保育士学習の補助など、保育士支援は全国トップクラスの体制です。公園や児童館など、子ども向けの施設が多いのも神戸市の特徴ですね。

神戸市の教育情報 後編に続く

KOBE子育て応援団ママフレ

この暮らし体験のナビゲーターについて

デュアルライフ研究所 時友真理子

自然と文化のいいとこどりできる、これからの新しい暮らし方、「デュアルライフ」について研究します

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