島&都市デュアル 2年目終了の座談会(2019.3.11)

3月11日、「島&都市デュアル暮らしツアーズ」参加4市(芦屋市、神戸市、淡路市、洲本市)のキャップが集まり、これまで2年間続けてきた活動を振り返る座談会を開きました。

3月11日、「島&都市デュアル暮らしツアーズ」参加4市(芦屋市、神戸市、淡路市、洲本市)のキャップが集まり、これまで2年間続けてきた活動を振り返る座談会を開きました。

4人にとって「島&都市デュアル」と向かい合った2年間はどういうものだったのか。そしてこれからどういう展望や意欲をもっているのかを、2時間にわたって語り合いました。

 

●参加者
芦屋市 渡辺直子
神戸市 小笠原 舞
淡路市 高木恵美
洲本市 富田祐介

出会いと印象は4者4様

富田 皆さんと島&都市デュアル暮らしツアーズ(以下、島&都市デュアル)の出会いは何だったのですか? またこの企画のことを聞いてどう思いましたか?

小笠原 私はちょうど結婚して関東から神戸に移住して来たばかりの時に、島&都市デュアルに参加しないかと神戸市の方からお声かけいただきました。それ以前に神戸在住の夫との遠距離恋愛で神戸と東京を行ったり来たりしている時にすでに神戸のデュアルな魅了やポテンシャルに気付いていたので、この企画が打ち出された時「待ってました!」という感じでした。これは絶対に面白い結果になると、やる前から確信してました。

渡辺 私はちょうどその頃、芦屋市と一緒に市民活動の醸成をしようと取り組み始めていた関係で、担当の市の職員さんから「こちらにも参加してみませんか?」と提案されたのがきっかけでした。それで参加してみたのですが、最初はすごく戸惑いました。というのは、この企画の目的がどこにあるのかが、よく分からなかったからです。たとえば移住促進なのか、観光誘致なのか、それとも知名度アップなのか、何を目指せばいいのか見えにくい部分があったので・・・。

富田 僕は東京から淡路島に移住しましたが、出身は神戸市です。つまりまさにデュアルな人種だったので、この切り口がめちゃくちゃいいと思いました。実際に島と本州を行き来する時に、神戸は玄関口になっているし、自分のふるさとでもあったから、淡路島と神戸を結んで何かやりたい、何かやらないともったいない、という気持ちになりました。

高木 私は正直なところ「都市と島のいいとこどり」というキャッチコピーを見て、「それ、ちょっと都合が良すぎるんじゃない?」って思いました。島の魅力は十分感じてましたが、神戸や芦屋のことはよく知らず、淡路島とこの2つの市がそんなに近いという実感がまだなかったこともあり、当初は心の中でどこかもやっとしたものを感じていました。

企画力と意欲をアップさせた内輪ツアー

富田 なるほど、出会い方と感じ方はそれぞれ違ったことが分かりました。では、実際に活動をしてみてどうでしたか?

小笠原 私は保育関係の仕事をしているので、教育や子育て環境について考え続けています。そのため、この島&都市デュアルという名前のもとでやりたいこともはっきりしていたし、結婚して神戸に来た時も「まちぐるみで子育てができるこのまちに住みたい」と思って長田を選んで住んでいました。だからこの活動を通して長田の魅力を多くの方に伝えられたら、と思いながら活動しました。こんな子育てもあるよ〜という、私の伝えたいことに島&都市デュアルという面白い切り口をくれてありがとうと思いました。

渡辺 私は芦屋というまちについて考えさせられる日々でした。確かに静かできれいで安全で素晴らしく住み心地の良いまちなのですけれど、それをもって外の人に「すごく魅力的なまちだ!」と感じてもらうのは、予想以上に難しいと分かりました。あんまりきれいすぎると引っかかりがなくてスルーされてしまう。移住にしても観光にしても「芦屋に行こうぜ!」と言ってもらうためには、もう少しザラザラした部分をつくることも大事なんだなあと実感しました。

富田 僕は、2018年3月にお互いのまちを訪ね合う内輪ツアーをしたあたりから、がぜん活動に対する面白さが増して、ツアー企画もつくれるようになった感じがしているのですが、皆さんはどうですか?

高木 キャップの誰かが、「そういえば、お互いのまちのことあまり知らないね」と言い出して、それならとりあえずはみんなで4市を巡ろうという話になり、芦屋市と神戸市で1日、洲本市と淡路市で1日、それぞれ日帰りで内輪ツアーをしたんですよね。それから飛躍的に活動やツアーづくりの意欲やリアリティが増しました。

小笠原 そうそう。あれでがぜん面白くなりました。自分のまちをどういうふうに見せて、何を伝えたらいいのかが、内輪ツアーの反応からよく分かったし。

渡辺 そうでした。芦屋のまちのいろいろな表情を見てもらった後に、うちで友人の料理研究家が作ってくれたランチとお茶会をしたら、みんながとても喜んでくれたので、「あ、これ、いいかも」と。それ以降、この2つの企画(料理教室とお茶室体験)が、芦屋市の暮らしツアーの目玉企画になりました。

富田 やはり自分たちの目や足で確かめることはすごく大事ですよね。あれがあったので、その後に続いた4市の外に向けてのイベントやスクールにもある程度自信をもって臨めた部分がありましたね。

2つのイベントで外とつながる

渡辺 4市から外に向かってのプレゼンテーションとしては、2018年7月に東京・渋谷で開いた島&都市デュアルライフフェスと、10月に東京と大阪で開いた島&都市デュアルライフスクールの2つがありましたが、両方のイベントづくりに携わった富田さんは、どんなことを感じましたか?

富田 僕はあの2種類のイベントを通して、来場者の中に、予想外に真剣に4市への移住を考えている人や家族がいることを知りびっくりしました。会場で知り合い、その後、淡路島に遊びに来てくれた家族や人もいますし、移住の相談もされました。

小笠原 私も、つながった家族が、今、真剣に神戸市・長田への移住を考えています。子どもの教育について話し合った結果だそうですが、家族で移住するとなるととても大変なのに実行しようとしているところを見て、長田の魅力がちゃんと伝わったんだと嬉しくなります。

富田 確かに東京からこちらへすぐに移住するという決断をする人は少ないですが、大阪在住の人でスクールをきっかけにリアルに移住を考え始めた人は結構いますし、島に遊びに来てくれたり、やり取りをしたりする人はもっとたくさんできました。そういうつながりは、お互いにとってきっと得難い財産ですよね。

「島&都市デュアル」ってどうでしたか?

高木 ところで、皆さんは、この企画に参加して何がいちばん良かったですか? 私は外部の人の反応や言葉を通して、淡路島の魅力を再発見できたことがいちばんの収穫だったような気がします。それと、島内で今まであまり知らなかったエリアのことについても詳しくなって、島での生活や繋がりがより豊かになったことも良かったかな。

小笠原 私は淡路島との出会いがすごく良かったです。島&都市デュアルに参加してから神戸の友人にも頻繁に淡路島をおすすめするようになったんですけど、彼らがこぞって「淡路島ってこんなに近かったんだ。これちょっとやばいよ!」って言い始めて、今では休日になると淡路島に通うようになった友人もいるんです。普段ハードに仕事している人ほど淡路島にハマルみたいで(笑)。この癒し力抜群の、そしてわずか1時間ほどで行ける島と知り合えたことは、私にも友人たちにとってもありがたいことでしたね。

高木 さっき淡路島の良さを再発見できたと言いましたが、それと同時に都市の良さも思い出しました。私は東京から「自然の中で子育てしたい」と思って淡路島に移住したんですけれど、今回、神戸や芦屋の人々と知り合えたことで、「あ、都会の暮らしも楽しいものだったな」と思い出したんです。それで、淡路島が、行きたいと思えばすごく近くに都会があるロケーションにあることにも気付いて、その両方を楽しめる淡路島で暮らしていることを改めていい選択だと思うようになりました。

渡辺 私は芦屋市を客観的に見られるいい機会だったと思います。この活動によって芦屋市の課題も分かったし、それに自分が取り組むモチベーションも上がりました。次の目標としては、きれいで安全だからという理由以外で「芦屋に移住したい!」と熱く希望してくれる人や家族を生み出すことでしょうか。その実現をぜひ目指したいという目標ができました。

富田 僕は芦屋に初めてコンタクトできたこと、そしてふるさとである神戸の住んでいた時には気が付かなかった魅力を改めて知ることができたのが良かったかな。この2年間で培われたそれぞれの経験を礎にして、ますます意欲的に楽しく、次のステップに突入したいですね!

この暮らし体験のナビゲーターについて

渡辺直子

お住まいのエリア:芦屋市
職業・所属など:プランナー&編集ライター

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