「デュアルな暮らし特別体験ツアー地域コミュニティ堪能コース NPO法人島くらし淡路訪問レポート

島&都市デュアル暮らしツアーズの「デュアルな暮らし特別体験ツアー」の2日目、淡路市のコースの一部を淡路在住20年の暮らしナビゲーター、横山がレポートします。

“移住”という目標をリアルにする。

17:00を少し過ぎた頃、大きなバスに乗って地域コミィニティ堪能コースのツアーの参加者の方たちが到着。「NPO法人 島くらし淡路」の拠点は大阪湾を一望できる絶好の立地のため、まずは外で撮影大会が始まりました。陽が落ちるのが早くなってきており、海が見えるギリギリの時間。薄暗い中で一部だけオレンジに彩られた海を、皆さん写真に収められていました。

撮影大会もひと段落ついて、皆さん建物の中へ。薪を使った本物の暖炉で暖められた室内。暖炉の前で「本物だ~」と言う声が聞こえてきました。

事務局長の堀内さんから、簡単にこの場所の説明があった後、淡路市地域おこし協力隊の野田さんも一緒に、建物内を案内してくださいました。暖炉がある部屋を出ると、すぐに作業場があり、農作業の道具や草刈り機が置かれていました。「淡路島に暮らすと、草刈り機は必要。良かったら使い方教えますよ。」と笑いながら話す堀内さん。まさに、田舎暮らしのリアルを感じます。

部屋へ戻ると、コーヒーとともに島のお菓子“オレンジピール”と“島さぶれ”が机の上に。皆さんが集まり、それぞれ椅子に座ったところで、堀内さんから「島くらし淡路」についての説明が始まりました。

「島くらし淡路」とは、淡路市の委託を受けて、移住の相談窓口となっているところ。
移住の理由は人それぞれなので、例えば「農業がしたい」という方には農家さんへ繋いだり、「古民家を使ってカフェをしたい」という方には不動産業者へ繋いだりと、移住を考えている方に寄り添って具体化していくことがメインのお仕事。
その他には、淡路島をまず知ってもらい、好きになってもらうために魅力を発信していくことや、“じゃがいもの収穫体験”、“マーマレード作り”などを企画することも。そういった企画はささやかながら、活動の収益にもなっているそうです。また、こちらの拠点では地域のコミュニティの活動、交流の場としても利用されており、カフェとして開放している他、陶芸教室や新米おむすび会などを行い、2歳から86歳の方までが参加されているそうです。参加者の皆さんもその年齢層の広さに驚かれていました。

野田さんは1年4か月前に移住してきたばかり。実際に淡路島に住んでみてどうなのか、お話を聞かせてくれました。

現在、淡路市地域おこし協力隊と“淡路島ファーム太陽と海”の農主として二足のわらじで日々奮闘されている野田さん。「農業をしたい」と移住を考え、東京から淡路島へ。最近やっと落ち着いてきたそうで、「午前中は畑で野菜の世話をして、その後オーガニック野菜の販売をしたりとか。田舎暮らしを楽しんでいます。」とのこと。かと言ってそこまで田舎過ぎず、車で神戸に遊びに行って、ご飯を食べて帰ってくることもあるそうで、島の田舎暮らしと都市での遊び、どちらも楽しめるのは魅力の一つだと話してくれました。その近さを「“神戸市淡路区”と言っても過言ではない」と表現されていました。それほどに、近く感じるのだそうです。そして、魅力を発信してきたお二人だからこそ知る、淡路市の情報を存分に話してくれました。
その後、座談会へ。

まずは千葉県からお越しの男性から、野田さんへ質問です。

Q.東京に住んでいた時と淡路島での生活費の違いは?
A.東京と比べると淡路での生活費は3分の2から半分強ですかね。
さすがに家賃がだいぶ安いので、そこがまず大きく違います。ライフラインで言うと電気代は一緒ですが、水道とガスが1.5倍と少し高いです。また車が1人1台ないと暮らせないため維持費がかかります。魚や肉、野菜が安く手に入り、かつ美味しい!全体を考えて生活費はそんな感じです。

Q.意外と光熱費が高いんですね?
A.淡路島には都市ガスは洲本市の街中ごく一部にしかなく、ほとんどがプロパンガスのため、多少割高になります。阪神淡路大震災の時に、淡路で被害が少なかったのは、都市ガスが広がっていなかったことも理由のひとつみたいですよ。

そして、40代女性からはこんな質問も。

Q.災害はどうですか?
A.南海トラフは3m以下で想定されています。内海なので、結構大丈夫みたいですよ。山の手に引っ越したら白昼堂々イノシシや野兎がいたりもしますけどね(笑)

Q.淡路島は縦に長いが、文化などは違いますか?
A.1周150km、車で南北に走ると高速で1時間程度、下道で2時間半程度です。真ん中に山地があり、平地がとりにくい淡路市、街中として整備されている洲本市、平地が多くて農業がさかんな南あわじ市、などそれぞれ特色があり文化も違います。

Q.コミュニティの場はありますか?
A.この島くらしの拠点もそういった場の一つです。やりたいこと、目的に沿ってコミュニティが開かれていて、場所も違う。それは個々で発信されています。

Q.都会で得た知識や経験を活かし、地域ならではの産業を盛り上げたい。そんなチャンスはありますか?
A.それこそ地域おこし協力隊の方でスキルを活かして淡路名産のお香の発信をされている方や、イノシシなどの獣害をあえて産業に結びつけたり、伸び放題の竹林を資源として使えないか考えている方もいたりと、活かせるチャンスはいくらでもあります。

 

逆に、野田さんから参加者の方への質問もありました。

Q.ツアーに参加された理由は?
A.(広島在住の男性)神戸に興味があったんです。仕事でこっちに来ているから移住も視野に入れて考えています。

(千葉県在住の男性)東京の殺伐とした雰囲気から抜け出し、自然に近い暮らしをしたいなと。熱海に住んで都内に新幹線で通勤するというツアーにも参加したのですが、今回は島から都市へ通勤するというスケールのでかい話を聞いて興味を持ちました。

(横浜市在住の女性)淡路島はどんなところかな?という単純な興味です。移住を考えていますが、全てを捨てるのはハードルが高い。そんな中でデュアルという暮らし方に興味を持ちました。最終バスが遅い時間にあるってことも今聞いて、いいなと思いました!

島くらし淡路では、物販もされているので、部屋の中には様々な島ならではの商品が並んでいます。皆さんが特に興味津々だったのが、棚に無造作に置かれていた大きな玉ねぎです。

Q.この大きい玉ねぎは何ですか?
A.洲本市五色町で作られている「七宝大甘」という玉ねぎです。味が甘くて、大阪のお寿司屋さんなどにも卸されているみたいです。
「へ~」という声が色んなところから自然に聞こえてきて、参加者の方全体で聞いている感じが伝わってきます。よほど気になっていたみたいですね。淡路島は玉ねぎが有名ですから。その他にも堀内さんがキンセンカの花びらを使った「カレンデュラ」という商品やいちじくカレーなどを紹介してくれました。

座談会も終わり、少し休憩をしてバスに乗り込む準備をする時間です。
その少しの間に、物販が大盛況!カレンデュラや七宝大甘、干ししいたけなど、参加者の方が次々に購入されていました。「〇〇はもうないんですか?」「それ狙ってたのに~」と残念そうな声もチラホラ。思わぬ収益に、堀内さんも嬉しそうです。

島&都市デュアルという暮らし方に興味があったり、淡路島に興味があったり、皆さんそれぞれの目的や想いを持って参加されている中で“移住”に焦点を置いた「島くらし淡路」でのツアー内容は、非常に伝わりやすく、リアルを感じられたのではないかと思います。地元民の私でも、淡路島でデュアルな暮らしをするということに、改めて魅力を感じた時間でした。

 

 

この暮らし体験のナビゲーターについて

横山夕納

お住まいのエリア:淡路島
職業・所属など:不動産

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