都会に住んでいても、人情溢れる子育てがしたいと考える人や、学力や学歴だけを目指すのではない教育を与えたいと思う親が増えています。
島&都市デュアルに、「都市」として参加する神戸市ではどんな子育てや教育支援が行われているのでしょうか。神戸市の担当者に尋ねてみました。
かのイチロー選手の「神戸はちょうどいい大きさ」という言葉に表されるように、神戸市は海と山と発展した港町が共存する都市。自然環境の良い生活と都会的な生活が同時に味わえて、世界から観光客も訪れるこの魅力あふれるこのまちでの子育てについて、担当者に聞きました。出産から幼児までの子育て支援についてお知らせした前編に引き続き、小学校から高校に関する情報を、この後篇でお届します。
*この記事に掲載されている内容はすべて2018年8月1日時点のものです
*この記事では市で行われている特徴的な子育て施策についてのみ言及しており、その全てではありません
時友(以下、時) 続いて、小学生以上の子どもへの教育では、どんなところに力を入れているのか教えてください。
神戸市(以下、神) まず、小学生以上には「防災教育」と「国際教育」という神戸の教育の特色があります。
時 「防災教育」というのは、1995年1月17日の阪神・淡路大震災の教訓を生かすということでしょうか。
神 はい。生徒一人ひとりが、自らの命を守るために必要な知識や技能を身につけるだけでなく、1.17や3.11をはじめとする近年多発する様々な自然災害を学ぶことで「人としての生き方・在り方」を考える機会にしたいとも思っています。
時 小学生からそういう機会を設けているのですか?
神 はい、そうです。神戸市には「しあわせはこぼう」という防災教育用の副読本があります。この冊子を使いながら、1.17と3.11について、理科と社会の授業内容にも結び付けて学ぶことができます。実際に地域の防災訓練に加わる学校もあります。これら一連の防災教育には、防災上必要な知識や技能を身につけるだけでなく、震災体験から学んだ教訓を生かし、人間としての在り方、生き方を考える学習を進め、相手の気持ちに寄り添い、思いの共有化を図っていく中で「生きる力」を育んでほしいという願いも込められています。
時 一方で「国際教育」にも力を入れているのですね?
神 はい。グローバル化に先駆け、ALT(アシスタントランゲージティーチャー。外国人英語指導助手)を各中学校に配置しています。小学校にも行ってもらっていますし、授業だけではなく給食の時間などもネイティブの先生に一緒に過ごしてもらうなどしながら、英語教育の促進を図っています。
時 神戸市の自然環境と都市が共存しているこの立地を生かした取り組みは何かありますか?
神 そうですね、神戸市では自然環境に恵まれた特色ある教育を推進している小規模な学校を「小規模特認校」として指定しています。その一つが「六甲山小学校」で、標高800m近くの六甲山の森の中にあるんです。1時間以内で通学できることなどを条件にしています。六甲ケーブルに乗って毎日登校するのです。
時 面白そう。授業内容も特別なのですか?
神 カヌー体験、魚捕り、雪遊び、六甲全山縦走、スキー学習、全校キャンプ…。全校生徒がまるで兄弟のように仲が良いと聞いています。
時 そんな小学校はなかなかないですよね。六甲山地ってスキーもできるんですね。海がすぐそこに見えて、ユニクロからランボルギーニまである元町のあの都会的な街並みから、スキーができる山まで、わずかな時間で移動できるというのは神戸市ならではの魅力ですよね。まさにデュアル。
神 そうですね。里山が残るのんびりした地区から、教育熱心な家庭が集まる文教地区まであるという、教育環境のバラエティの豊かさ、選択肢の多さも神戸市の自慢ですね。なにしろ神戸市は全国でも有数の児童館の多さを誇っていますし、市内には王子動物園や須磨海浜水族園があり、ヴィッセル神戸、INAC神戸レオネッサなどプロスポーツチームもあります。小学生以下なら、休日は市バスと地下鉄は無料なので、課外活動も満喫してもらえると思います。
時 早い段階からインターネットでの学習にも力を入れていたと聞きましたが。
神 今では導入校も全国的に増えてきていますが、2年前から全中学生に家のネット環境でも使える学習支援ツールを導入しています。生徒が自分のレベルに合わせた問題をサイトからダウンロードして家で学べるというもので、学力向上に役立っていると思います。
時 神戸市には、全国でも有名な高校が複数ありますよね。
神 公立・私立ともに学力レベルやスポーツで知られる学校だけでなく、個性を尊重して伸ばす学校もあるのが良いところだと自負しています。たとえば、神戸市立ではスーパーグローバルハイスクールの神戸市立葺合高等学校や、スーパーサイエンスハイスクールの神戸市立六甲アイランド高等学校などはその例ですね。
時 暮らし方も遊びも勉強も選択肢が多いのは子育て層にも魅力的ですね。市のサイズとしてはそこそこ広いのに、薄く広くではなく、厚みが感じられるのがすごいと思います。最後に、神戸市に移住を検討されている小学生以上の子どもさんを持つ親御さん方に一言お願いします!
神 「今後も、子育てに関わるさまざまなニーズに応えながら必要とされる施策をバランスよく積み重ね、切れ目のない支援を実施していきます!」
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